歴史とお酒の中国旅行(1) Page4/4

覇王祠 項羽は劉邦の将軍に「俺の首を持って劉邦に成功を報告し、戦争はこれで終結にして、永遠に戦いのない国にしてほしい」と言い残して自ら首を切ったそうである。項羽と劉邦は覇王を争っていたが、お互いに民のために考えていた優しさが伺える。感動を覚えた。烏江鎮にある覇王祠には項羽の体が埋葬されていたが、項羽の頭は劉邦に見せるため、彭城(ほうじょう・現在の徐州市)に持っていったそうである。
項羽と劉邦の戦いで、項羽が失敗したが、現在の中国人の中でも、項羽を尊敬している人が数多くいる。烏江鎮では項羽が称えられ、演劇などの方法で後世に伝えている。烏江鎮で昼食を摂ったとき、地元の住民に項羽のことを聞いていたら、項羽のことを誇りに思って語ってくれた。項羽の義理を重んじ、妥協しない性格は現在の中国人にも好かれているようである。
中国の歴史の中では、失敗した王者を称えるのは珍しいことである。歴代の王様から庶民までこの敗れた覇王を偏愛している。歴史家は項羽を王侯としてその事績を後世に伝え続けている。庶民は項羽を仏として、祠を作って先祖を祭る御霊屋にしている。旧暦毎月の1日と15日に多くの村民が覇王祠にある項羽立体像を囲んで祭りのように賑わっている。今回の歴史旅行の初日はいい勉強になった。

南京に戻る途中、雨に遭った。夕食は小皿料理で、食べながら演劇を鑑賞していた。南京産の白酒を3本空けたので、ほろ酔い状態になった。日本からの旅行客ということで、突然隣のお客さんから日本の歌のリクエストが入った。カラオケではなかったので、筆者ともう1人のメンバーとガイドさん3人で「北国の春」の中国語バージョンを歌っていた。
ちょうど南京の祭りで町は人だかりで、ライトアップや、飾りがとても美しかった。
醸界通信社・醸界春秋・2006年5月号

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