你好」と「こんにちは」から考えたこと Page2/2

日本人は決まりきった挨拶用語を好んで使いますが、中国人はその場その場で具体的な内容やその状況に合わして、相手のことを中心に考えて、言葉や文を作って挨拶言葉として、挨拶を交わしていくのです。あまり決まりきった挨拶言葉は好きではないようです。例えば、日本では、ご飯を食べる前に「いただきます(我就不客气了)」、ご飯の後に「ご馳走様でした(多谢款待)」、朝に会ったときに「おはようございます(早安)」、昼に会ったら、「こんにちは(你好)」、夜に会うときに「こんばんは(晩安)」という挨拶用語を使います。日本人は家族の中では、「こんにちは」、「こんばんは」は使わなくても、「おはようございます(早安)」は使います。中国人は家族内では、「おはようございます(早安)」でさえも使いません。

あいさつ 日本人はよく「こんにちは、今日はいいお天気ですねえ(你好!今天天气很好啊)」を挨拶用語として使いますが、日本語や日本のことを知らない中国人にそのまま訳して、その中国人は空を見ながらびっくりする様子が伺えます。中国人は、「この人は私のことがあまり好きではないかな、そうでなければどうして私とまったく関係のないことを口にするのでしょうか、私の顔も見ないで」と思うでしょう。
以前、中国人は好んで「你吃饭了吗?(お食事、もうお済みですか)」を使っていました。これは決まりきった挨拶用語だといえるでしょう。この挨拶を日本人に向かって話したら、びっくりするでしょう。挨拶はそれぞれの民族の風俗や生活習慣を表しているので、日本は気候の変化が激しく、天気のことを大切に考えているのに対して、中国人は食事を一番だと考えて、食事のことを挨拶用語として使うと考えられます。挨拶用語も異文化理解には大切だと再認識しなければなりません。

ここ数年、経済の発展につれて、新しい挨拶用語が続々出現しました。「最近又発了吧(近頃、また儲かりましたか)」という挨拶言葉は流行語になりました。このような挨拶言葉が多く現れてきました。例えば、「発財(財を築く)」、「発展(発展する)」、「発达(発達する)」、「発福(福福しくなる)」、「発了吧(金持ちになりましたか)」などがあります。改革開放してから、離婚率が急上昇しています。そういう事情を反映しているのか、若者同士では、「還没离嗎(まだ、離婚していませんか)」と言って、挨拶の代わりに使っています。これは一種の駄洒落やユーモアのものだと考えられますが、言語変化の一端を知ることができます。
同学社・「TONGXUE」第31号・2006年春

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