語学は道具にすぎない 異文化理解は車の両輪

胡金定さん=甲南大学国際言語文化センター所長になる

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日中関係がきしむ中、甲南大学(神戸市)で4月から、外国人として初めて、教授会組織をもつ学部・センターのトップとなる。中国・アモイ大時代から一貫して、日中比較文化をテーマに研究を続けてきた。
「中国人は名刺にいっぱい肩書を書き込み、得意なことや資格などを誇らしげに話し、懸命に自分をアピールする。日本人は自己PRを好まないが、文化の違いを知ることは大切です」

甲南大と協定を結ぶ中国・西北大西安市)で03年、日本人留学生の寸劇がきっかけで反日デモが起き、学生の中国に対する反感も強まった。「中国では学園祭といっても、公開の場でみだらな踊りをすることは許されない。異文化への無理解が根底にある」と説き、学生に中国へ旅行してみるよう勧めた。
実際に自分の目で見て、メディアで伝えられる中国人像との違いを実感した学生も多いという。「政治状況に左右されない外国理解者を育てるのが私の役目です」

最近は、中国の日系企業の視察を重ね、異文化マネジメントの研究に取り組む。現地の習慣を尊重しなかったため、労働者が大量退職するなどの失敗例も多く見てきた。「日本企業が中国に進出する際、役立つ具体的な情報」を本にまとめようと準備中だ。「日本人はよそ者への抵抗感が強い。中国人の私がセンター所長としてどんな仕事ができるか、これも一つの実験」。大役に意欲を燃やす。
毎日新聞・2007年3月4日

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