你好」と「こんにちは」から考えたこと Page1/2

「TONGXUE」第31号 中国人同士の間では「你好」と言う日本でもよく知られている中国語の挨拶言葉はあまり言いません。不思議に思うでしょう。調べてみると、確かに中国語の中には決まりきった挨拶用語は少ないことが分かりました。

しかし、外国人に中国語を教える際、最初に教えるのはやはり「你好」でしょう。テキストにはちゃんと「你早」= おはようございます、「你好」= こんにちは、「晚上好」= こんばんは、などの挨拶言葉が書かれていますが、なぜか中国人同士の間ではあまり使わないのです。それは、日本語の中でもよく見られるように、家族のものには「こんにちは」とは使わないのと同じようなものです。そういうことで、中国語では家の人や親しい間柄の人に「你好」とは言わないのです。
それでは、中国語の「你好」は、どんな場合、誰に対して使うのでしょうか。初対面の人同士が挨拶用語として交わすのが最も一般的です。例えば、知っている人でも久しぶりに会ったときには、使いますが、親しい仲では使わないことが分かります。つまり、「你好」はむしろ他人行儀な挨拶用語で、親しい間柄、会社の同僚、家族のもの、親戚の間では使うと違和感を覚えます。また、水臭いと思われます。普段、中国人はその場その状況に合わして臨機応変に挨拶用語を使って挨拶を交わしています。例えば、「你去上班啊(これから仕事ですね)」、「你去上学啊(これから学校ですね)」、「你出去呀(お出かけですか)」などのように、相手の通勤、通学、出かける状況を見て、その状況に合わして挨拶言葉を作ります。

相手の行動、相手の置かれている状況を描写することは、イコール相手の存在を認めることです。というわけで、通りかかった相手の名前を呼ぶだけでも立派な中国語の挨拶です。ちらっと相手の姿を見かけたら、その人の名前、職名を呼びかけます。これは単に親しみを込めた挨拶言葉のときが多いので、近寄っていって「何?」と確かめたりすると、名前を呼んでくれた人が大変困ります。別に用があるわけではありません。ただの通りかかった簡単な挨拶だけなのに、困惑してしまいます。名前や職名を呼ぶのは日本語の「こんにちは」のようなものです。

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